故障スイッチ修理断念 <ブレイスレストア日記3>

8年ぶりに自分の元に戻ってきた、ヤマハPASブレイスL。
故障したメインスイッチを、直すか 交換するか。
電動アシスト自転車として復活させるには、それ以外に道はない。
逆に言えば、スイッチさえ直れば また走れる。

とりあえずは、電源の入切さえできればいい。
アシストモードは 起動時の標準モード固定のまま切替できなくても構わないし、
オンオフ操作をこのスイッチでおこなうヘッドライトは 電池式汎用品で代用できる。
さぁ、どうするどうする? ドイにする? (by.カメラのドイ)


手元スイッチの憂鬱】
ヤマハPASのメインスイッチは、ハンドルバー上に 樹脂製ブラケットでねじ留め固定されている。
ハンドルグリップを握ると、親指を伸ばした先にボタンがある。
部品名称は「メインスイッチアセンブリ」「メータアセンブリ」等だが、
一般的には 手元スイッチとも呼ばれている。

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・X79スイッチ (X79-82510-11) 9680円(税込)
写真:2011年 PASリトルモア用

数字表示機能が初めて搭載されたタイプのスイッチ。
バッテリー残量と走行速度を表示できる。(どちらか1つの排他)
(このケース形状のスイッチには、バッテリー残量表示のみの物や
バッテリー残量/残り走行可能距離表示の物も存在する。
その2つは、ボタンが水色じゃなくて 緑色…だったかな。)

これ以前のスイッチは、インジケーターランプ表示のみだった。
X54-82510-00メインスイツチアセンブリ(9636円)など
さらに以前は、電源スイッチがプチプチボタンではなく ツマミを回すロータリー式だった。
X29-82510-20メインスイツチアセンブリ(7359円)など

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・X91スイッチ (X91-82510-10) 9680円(税込)
写真:2013年 ブリヂストン・リアルストリームMINI用 (PAS CITY-Xの兄弟車)

7セグメントLED2桁表示スイッチの第2世代。
表示機能が1つ増え、残り走行可能距離目安も把握できるようになった。
プチプチボタンのふくらみが一回り大きくなったように見える。(応力を分散させるため?)

※パネル表面にくっついてる和紙みたいな膜は、たぶん新車時のキズ防止フィルム。
この写真を撮るため数年ぶりに社外スイッチカバーを外したら、こうなってた。
和紙的物体が保護フィルムじゃないとしたら、虫か何かの… ひぇ~っ!!

(※以前は、多くの車種で ブリヂストンからPAS兄弟車が発売され、
上の写真のように スイッチにも同じ物が使われていた。
ブレイスのスイッチも、兄弟車リアルストリームと一緒。
スイッチ天面のロゴ「YAMAHA」「BRIDGESTONE」の違いぐらい。
ラベルが自社ロゴで中身は同じなバッテリーみたいなもん。
最近のブリヂストン車には、前輪アシスト(後輪人力=両輪駆動)など
独自ユニットを搭載したモデルもあるようで、それらの車種は スイッチもヤマハの物とは異なる。
PASと兄弟車だった時代から 車体はブリヂストン担当だろうから、
パワーユニットを自社製やパナソニック製で賄えば、脱ヤマハは有り得る話。)

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・X0Uスイッチ (X0U-82021-00) 9680円(税込)
写真:2017年 ナチュラXLデラックス(PA26NXLDX)
電源ボタン右にある丸ポチは、オートライト機能の照度センサー。

PAS現行ラインナップのスイッチは、この液晶5ファンクションメーター」が主流。
大型液晶画面を備えている。
(一部車種は、シンプル操作&デカ文字表示の「液晶かんたんスイッチ」を搭載)

スイッチパネルの意匠は、車種によって異なる。
・黒色パネル/緑色黄色白色ボタン (上写真のスイッチ)
・黒に灰色ライン入りパネル/白色ボタン
・黒に青色ライン入りパネル/ホワイト色ボタン

機能は、2桁LED表示の旧タイプとそう変わらないが、時計表示が加わった。
オートバイ向け電波時計を後付けした自分にとっては羨ましい装備だが、
時刻がけっこう狂うらしい。今どき電波じゃないのか、純正は。


【スイッチ故障の原因】
これら手元スイッチの操作ボタンを押下すると、プチップチッと節度感がある。
ボタンが配置されるパネル表面はフラットでシームレスだが、
スイッチ自体はタッチパネル式ではない。
パネル下に ボタンの個数分の物理式スイッチが隠れているってこと。
ボタンの耐久性=パネル全体の耐久性 でもあるわけだ。
見たかんじ 水やホコリが入り込む余地はなさそうだが、それは新品状態での話。
パネルがヤワなつくりだったら、内部スイッチが二重防水構造でない限り
基板部への浸水は防げないんじゃないかな。

スイッチ故障予防については、自転車店の交換報告ブログ等で
“爪で押しちゃダメ” “スイッチ保護カバーを着けよう!”と 啓蒙されている。
たしかに、この洗濯機風プチプチボタンは 見るからに爪押しには弱そう。
ただ、指の腹で優しく押して丁寧に扱ったとしても、早晩イカれそうな感触がある。
保護カバー装着には全面的に賛成だが、社外品での対策必須ってところが解せない。


天候にかかわらず 日常の道具・移動手段として使われる自転車のことだから、
電子機器であるメインスイッチにも ある程度の防滴性能は持たせているはず。
でも、スイッチ故障→交換(or廃車?)は、電動アシスト自転車あるあるなのであ~る。
見た目ボロボロの中古ジャンクスイッチにさえそれなりの値段がつくんだから、
故障事例の多さもわかろうというもの。

身近に聞いた経験から想像したのは、
ボタン押下を繰り返すうちパネル表面に入る亀裂,
もしくは ケース接合部(シーリングパッキンやコーキング)の劣化…
それらに起因する、スイッチ内部基板への雨滴水滴浸入による故障。


【ブレイス自慢の多機能スイッチ】
自分が買ったブレイス(2012年モデル)には、
前述の一般タイプとは見た目も構造も異なるスイッチが搭載されている。
その名は「液晶マルチファンクションメーター」。
一般タイプのスイッチ単品は約1万円だが、このスイッチは2万5千円もする。
※名前長いので、以下 所々で「液マル」と略します

液晶マルチファンクションメーター
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・X87スイッチ (X87-83500-00) メータアセンブリ 24640円(税込)

液マルには、後付サイクロコンビュータのような計測機能が色々付いている。
速度やバッテリー残量表示も、刻みが細かい。
「サイコン?  元から付いてますけど、何か?」みたいなかんじ。
最高速68.3km/h!?
(存命時撮影・再掲)

<液マル独自の表示機能>
★8段階表示パワーメーター (アシスト割合表示)
★11段階表示バッテリー残量メーター (パーセント表示に加えて表示) 
★平均車速,最大車速,区間走行距離,積算走行距離
★消費カロリー
(積算走行距離は記憶保持,それ以外の項目は セレクトボタン長押しでリセット可能)

<液マル搭載車種>
液マルは、ブレイスでは 2011年モデルから採用された。
一般タイプスイッチが数字表示付きX70番台に代わるタイミングで、
スポーティ車種であるブレイスには専用開発スイッチを奢ったってとこかな?
(2010年モデル以前のブレイスは、インジケーターランプ表示のみの一般タイプ寄りスイッチ。
ヘッドライトが乾電池式で バッテリー電源を使わないため、スイッチにライト入切ボタンが無い。)

ブレイス以外で液マルを採用した車種は、
女性向けカジュアルモデル「PASヴィエンタ」と
ブリヂストン「リアルストリーム」(ブレイスの兄弟車)のみ。
たった3車種。ほぼ専用品と言ってもいいのではなかろうか。

ここにきて、ブレイスと ヴィエンタ(後継のヴィエンタ5)は 液マルの採用をやめてしまい、
他車種と同じデザイン・機能の 液晶5ファンクションメーター搭載となった。
(スイッチ交換が半額以下で済むようになった点は有難いが…)
そんな訳で、現在は リアルストリーム2020(RS6C41)に残るのみ。液マル風前の灯火。

ブレイス/リアストもヴィエンタも、そんなに数が出るタイプの車種ではない。
ママチャリ系PASと比べたら、生産台数はずっと少ないと思う。
オークションやフリマを中古スイッチの出品をウォッチしていても、
一般タイプは毎日のように出てくるが、液マルは年数回程度。
なので、修理できずに交換となると、新品スイッチ購入が現実的だ。

*歴代ブレイスのスイッチ* Brace,Brace L,Brace XL,PAS Brace L Special(2013)
2008 初代モデル インジケーター表示タイプ X35-82510メインスイツチアセンブリ(6292円)
2009 追加モデルBrace-L 同上
2011~2020 液晶マルチファンクションメーター搭載 X77/X87-83500-00メータアセンブリ(24640円)
2021 液晶5ファンクションメーターに変更 X0U-82021メインスイツチセツト(9680円)


【故障した液マルの診察】
知人から聞いた話では、故障に前後して 画面(内部)に水滴を確認したとのことで、
浸水(もしくは結露)が故障のきっかけになったのは まず間違いない。

診察開始。
まずは、車両側ケーブルにコネクタをつないだ状態で 電源ボタンを押す。
ウンともスンともいわない。
電源入らないんだから当たり前だが、5つあるボタンどれを押しても反応は無い。
撫でてもつついても叩いてもダメ。やっぱ壊れてる。

コネクタを外し、部屋へ持ち込む。
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操作ボタンは5個、いずれもゴム素材。
※左上のボタンに開いている大穴は、今回蘇生を試みた際に故意にちぎったもの

液晶画面の左側に、アシストモード切替用の 大きなグレー色ボタンが2個。
退色やザラつきがみられ、劣化を感じさせた。
新品の時に触り心地が良くて質感の高い物は、
年を減ると 加水分解によって悲惨な状態に変化することがよくある。
表面加工が ボロボロはがれたり、触れないほどベタベタになったり。
このボタンはそれを通り越して、粘土細工のように硬化変質している。

他3個は、小さな黒色ボタン。一般タイプのスイッチには見られない側面配置だ。
下側の2個は、左側が表示項目選択ボタン,右側がヘッドライト入切ボタン。
上側(液晶画面の左上)にある1個が、メイン電源のボタン。

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側面にあるのが電源ボタン

黒色ボタン3個には 特に劣化はみられなかった。
全体的に、約10年使い込んだにしては、それほど痛んでない。
どのボタンも、押せば 手応えはしっかりある。
爪押しも多分されてない。それ以前にプチプチボタンじゃない。
プチプチじゃなくでも、使い方や劣化度合によっては浸水するということだ。
浸水したとしたら、硬化したグレー色ボタンの微細な亀裂からかなぁ。
新品状態ではどの程度の防滴構造なのかしら?

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「X87-00 2Z6」と記載されたシールが貼られている。
品番X87-83500-00の 前後2桁とロット番号かな?
(ヴィエンタだと 品番はX87-83500-20になり、シールは「X87-20 ***」。
値段は、末尾20のほうが なぜか少し安い。同梱部品の違いと想像。)
※一般タイプのスイッチは、シール貼付ではなく ケースに直接「X79-14」のように白文字で印刷されている

ケースは、上側と下側とが側面で接合されていて、
ビス類はひとつも見当たらない。(写真のビスは、ハンドル側との固定用)
この接合部、接着だか圧着だかわからんが、なにしろ頑丈。
こじってきっかけをつくれるレベルではない。

底面には ごく小さな穴が3つあり、ゴムで埋められていた。
位置としては、側面ボタンごとに付いているようなかんじ。
この穴も、えぐったところで手掛かりを得られるサイズではない。(えぐったけど)
おそらく 製造過程か何かで必要な穴なのだろう。

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他には、円形の突起がひとつある。
内側の十字の隙間に通気口のような穴があいているのかな?

ケース上下を分離させての分解は無理と判断し、修理を断念。
結局、手も足も出ず、(自分としては)早々に諦めた。
修理どころか、内部の状態を見ることさえできなかった。

もっとも、分解できたところで、基板には錆びがまわっているだろうし、
接点給油や異物除去程度しかできない自分には修理は難しいだろう。


【液晶マルチファンクションメーターの資料】
診察前、スイッチ修理に関する情報を求めて Web上を探し、
唯一?参考になったのが、メーカーのヴィエンタ関連資料。
下記URLの解説PDFを読み、構造について予習ができた。

YAMAHAMOTOR TECHNICALREVIEW
女性向けスポーティアシスト自転車 PAS Vienta の開発

*引用(抜粋)*
PAS自転車用デジタルメーター「液晶マルチファンクションメーター」
開発:ヤマハモーターエレクトロニクス社
(モータサイクル,電動船外機,四輪バギー,電動スクーター等のデジタルメーターを手掛ける会社)

開発における重点項目
1.薄型化 (外観、転倒時衝撃回避)
2.横押しスイッチ採用 (操作性向上・ハンドルを握った状態で操作可能)
従来構造:ユニット組立(部品の基板組付)→ケースに収めてシールする
本品構造:内部部品を一方向にケースに組付
(構造簡素化,組立性向上,従来樹脂部品廃止)
・LEDバックライト採用 (トランスを用いるELから変更・従来比約10mm薄)
LED…トップビュー型1個
導光板…基板LED光をL字型成形で裏面まで導光させて面発光
反射板…ケース内部へ漏れる光を表面へ反射
拡散板…反射板の光を拡散
・スイッチ構造変更 (横押しの実現)
スイッチ従来構造:ゴム製スイッチを裏面から樹脂部品で押さえて防水性確保
本品構造:一体成型で防水性確保(従来構造の樹脂部品固定溶着がケース側面に適用できないため)
ケース(ASA)と熱可塑性エラストマ2色成形でスイッチ部品構成

色々と工夫して開発されたスイッチだということがわかった。2万5千円するのも仕方ないか。
耐久性の追求については あまり触れられていないような…。
過酷な環境まで想定しているかどうかは別にしても、
防水防塵性能レベル等が明示されていれば
それに合った扱いを心掛けられる点で有難いんだけどなー
液マル用の保護カバーは純正品社外品ともに未だ発売されていないので、なおさら。


【作戦変更! 次いってみよー!】
修理はあきらめたけど、まだ手段はある! <4>に続きます!


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